心理学に興味のある人、心理学を通して、コミュニケーション術を学びたい人のために、
メンタルケアカウンセラーの私が書いています。
ここでは、「コールド・リーディング」というものを、ある占い師を例に挙げて、分かりやすく説明しましょう。
※実在の人物とは全く関係ありません。(念のため)
ある女性が最近、なんだか不運続きで、悩んでいました。
友人の薦めで、有名な占い師のところへ相談に行くことにしました。
占い師の元を訪れるのは、初めての経験です。
それらしい重いカーテンをくぐり、中に入ると、黒い衣装に身を包んだ女性が居ます。
貴方は同性ということもあり、少し安心して、用意された椅子に座ります。
椅子に座った途端、
「もしかして、貴方。腰が悪いんじゃないの?」
「・・・はい、2年前に。」
「やっぱりね。腰のあたりに、悪いオーラがまとわりついてるのが見える。これを取り除かないと、貴方に不幸が訪れますよ。」
と言われました。
「えっ?!じゃあ、どうすればいいですか?」
「そうね・・・貴方の近くに、名前か苗字に、KもしくはSの付く人が居るわね?その人から何か・・・小さなもの、そう、指輪、ネックレス、ストラップみたいなものをもらったことはない?それを浄化すれば、全ての運が良くなるわ」
その後、彼女は、着けていたネックレスを外すと、高いお金を払って浄化をお願いし、清めてもらったネックレスを再び着けて、満足して帰宅しました。
後日、彼女は、やることなすことツイていて、すっかり占い師の虜になっていました。
ここまでで何か、気付いたことはありませんか?
これが、占い師が見せた「心理操作」なのです。
まず、占いをした後の女性は、ツキが回ってきたと言っています。
これは、彼女の「占いをしたから、もう大丈夫。」という思い込みに依るものだと思います。
最初から、不運ではなかったのです。
人は、1つ嫌なことがあると、あれもこれもと悪い方に考えて、自分で悪い方に気持ちを傾けてしまいます。
占い師が指摘した腰の不調、これは、占いに行った彼女が、腰が痛い事を庇うように椅子に腰かけた。
それを占い師は見ていたのです。
さらに、占い師の言った名前か苗字に、KかSの付く人。
その人から、ネックレスやストラップなどの小物を貰うことも、珍しくはありません。
では、なぜ、KかSなのか?
菊池、佐藤、佐々木、木村、かおり、さちこ・・・など、日本人に、そのイニシャルの付く人は数え切れないほど居ますよね?
占い師は、わざと、ありきたりな名前を言ったか、占いをしに行った彼女の手帳に書かれた名前から、「推測した」可能性があります。
手帳の中を見るには、簡単です。
お客に名前を書かせる際、わざとインクの出ないペンを使わせ、お客の手帳に挟んだペンを使わせる、もしくは「数日前は何をしていたか」などの質問をして、お客にスケジュール帳を開かせる、などの「仕掛け」を用意しておくのです。
このような場合、人は無防備に、自分の個人情報を、さらけ出します。
占いをしに行く人の心理は、自分の事を「見て」ほしい、と思っているものです。
凄腕、と言われるセールスマンや、占い師などは、このような手法を、実に容易く使い分けます。
(もちろん、全てのセールスマンや占い師が、と言うわけではありません)
それをさも自分が言い当てたかのように仰々しく告げ、お客を信用させる手法があるということだけ、覚えてください。(汗)
占いや、対する人の話をどこまで信用するかは、本人次第です・・・。