心理学に興味のある人、心理学を通して、コミュニケーション術を学びたい人のために、
メンタルケアカウンセラーの私が書いています。
人を動かす手口に、このような手法があることを、知っていますか?
小さな要求をして安心させ、相手が断りにくい状況を作ってから、大きな契約を結ばせる。
「私は、そんな手口になんて引っかからないわ。大丈夫。」
なんて高を括っている人もいるのではないでしょうか?
では、このような経験はありませんか?
例として、あるセールスマンの「キャッチ方法」を紹介します。
「ピンポーン」玄関のチャイムが鳴ります。
「はい」
「私、〇〇会社の△△というものです。少しだけお話、伺えますか?」
「今、忙しいので・・・」
「それは失礼いたしました。販売ではないのですが、サンプルを試して頂きたくてお邪魔致しました。」
「買う気ないので、帰ってください。」
「いえ、サンプルを置かせていただいて、すぐに帰りますから。」
「ホントにサンプルだけよ?」
「はい。もちろんでございます!」
「ガチャッ・・・」
玄関のドアを開けます。
はい!
開けてしまいました・・・。
日常でよくあるこんな光景。
実はコレ、昔からよくある詐欺・・・いえ、心理学を巧みに利用したキャッチセールスの手口です。
知っている人は知っていますよね?
「フット・イン・ザ・ドア」
例えば、今のやり取り、お気付きでしょうか?
セールスマンが「小さな要求」を出し、家主がその要求を「承諾」したのです。
いや、承諾なんてしてない!と思っていますか?
いえ、家主は確かに「承諾」してしまったのです!
先ほどの例の場合、セールスマンがチャイムを鳴らすのが「小さな要求」、家主が玄関を開けたのが、要求を受け入れた証、「承諾」なのです。
「フット・イン・ザ・ドア」とは、僅かに開けられた玄関のドアの隙間に足を差し入れ、ドアを閉められなくする、という意味です。
(さすがに、現在の日本では、そこまでする人はいないと思いますが。汗)
人間の心理として、相手の顔を正面から見て断るのは、なかなか勇気が要るものです。
(よほど肝が据わっている人は別です。)
ましてや、1度ドアを開けて、「小さな要求」を「承諾」してしまっているわけですから、なおさらです。
顔を見てしまってから断るのは、相手に対して「何だか悪いな」という気になるものです。
腕利きセールスマンは、その辺の心理を掴むのが、実に上手です。
受け入れられやすい、小さなことから要求してきます。
ここで、身の上話でもされてしまったら、それこそ思うツボ。
いつのまにか、使い道のない、高い台所用品なんかを手にして、玄関でぼんやり座っていることになるでしょう。
さらに巧妙なのは、契約を、その場で結ばされることです。
契約を先延ばしにしては、「ブーメラン効果」が働き、カモ・・・いえ、お客様にキャンセルされる恐れがあるからです。
※ブーメラン効果・・・1度は説得された感情が、抵抗感から、時間が経つと冷静になり、「やっぱり必要ない」と、説得される前の感情に戻ってくる心理。
本気で拒絶する気なら、ドアは絶対に開けないことです・・・。(汗)